とりかへばや,男と女

ゴールデンウィークということもあって,ちょっと読みたかった本を読むことが出来たので,読書感想文.

「とりかへばや,男と女」 は,河合隼雄さんが書かれた本です.河合隼雄さんを知ったのは,「村上春樹河合隼雄に会いに行く」という,対談内容を記した文庫本からです.なかなか,深い洞察を二人の会話から得られた思いがあったので,河合隼雄さんに興味を持ったわけです.この方は,ユング研究所っていう,まぁ,私は素人なのでどれくらい凄いか知らんけど,とりあえず超凄いらしい研究所で勉強されたとのこと.

でだ,河合隼雄さんの紹介してたらきりが無いので,感想文.で,この本は,男女の根源的な同一性について述べているような気がします.そもそも,男女の社会的な見地における役割というのは,文化や宗教,環境に大きく依存するものであって,実は男女が入れ替わったとしても,なかなかどうして,何とかやっていけたりするという昔話について深く考察されています.いや,確かに結構目からウロコ気味です.

例えば現在では,結構男が泣くことを許すような風潮になってきている気がしますが,男の中の(一般的・社会的)女性らしさというのは存在するし,女の中の(一般的・社会的)男性らしさもまた存在するわけですね.全くそのとおり泣きがします.

また,面白かったのは欧米の物語は,ハムレットに代表されるような外圧がある中での激しい恋がロマンチックとされていて,実際に現代の欧米人もそのような物語を求めていたりするものだから,何回も結婚しなけりゃーいけなくなるというところですね.逆に,(古い)日本の場合は,恋をする過程そのものに重きをおくから,夫婦になっても特に激しい恋を求めずに,夫婦としての愛や友情を育んでいくことになるわけです.

もうひとつ最後に,これは私も高校生の頃から思っていたことなので凄く良く分かるのですが,欧米の考え方は,基本的にデカルトが分析する手法を編み出したところから現在までつながっていると思います.んで,さらにこのときあらゆることに対して目的性を持たせてしまったわけです.人間の生きる目的は何?みたいなね.でも,別に目的なんて無くても生きて行くわけですよね.僕は常日頃「目的は後からついてくる」という風に思っています.何も経験して無いのに目的を立てることが出来るわけ無いんだよね.経験に基づかない目的の設定は,大抵理想論に陥ってしまって危ないです.まぁ,若いときにはそこそこの理想を追うべきだと思うので,バランスが重要だよね.

今の若い(まぁ,私も若いかもしれんが)人たちは,理想と現実のギャップが大きいときの受け入れ態勢がちょっと出来てないかもしれないね(若いときは誰でもそうだと思うけど).まぁ,程よく気楽に行きましょうって感じですかね.うーん,読書感想文なのかコレ??思ったより長くなっちゃったし...